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since 2007.5.21 切断して送る、直江兼続の密書 | 戦国カフェ
   
 
戦国特に上杉家、幕末、古代、歴史を愛する日記です。時事問題も多いです。
 
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切断して送る、直江兼続の密書
先日、新たに発見された直江兼続の密書を公開すると言うので、見てきた。
兼続が、会津の蘆名氏の家臣に宛てた書状である。
実はこの書状、あるのは私も以前から知っていたが、行方不明になっていたのである。
 兼続の書状はたくさんあるわけではなく、密書となるとさらに貴重だ。
書状は一行ずつ裁断され、”こより”にして運ばれたとみられる。
密書は数々あるが、切り刻んだ密書は極めて珍しい。



右の図、赤い線が、裁断された箇所を私が眼で確認できたところ。写真禁止なので、いづなの絵で説明。


 日付は1584(天正12)年4月13日、本能寺の変から2年がすぎた頃である。
この年の3月、上杉家家臣で屋代秀正という人物が上杉を裏切り徳川家康に寝返るという事件が起きている。
今回の密書は、まさに屋代秀正が出奔して行方不明と言う場面から始まるのだ。
これを、受取人の同盟者である葦名家家臣に知らせ、治安を厳重にお願いします。と兼続は、言っている。
 
 そして、「上杉家家臣新発田重家が謀反をおこし、景勝が出陣するので御加勢お願いします。」と書いているのである。
 景勝は、同年4月に景勝が屋代秀正を討伐している。
 
 屋代秀正と言う人物について、語る。
『風林火山』に、村上義清と言う武将が出てきた。
 信玄と謙信の、川中島の戦いの発端となった武将である。
はじめ信玄が村上義清と信濃の覇権を争い、戦をしていた。
 この村上義清小領主なれど、武田信玄を相手に2度も勝つなどなかなかどうして戦が強い。

 戦闘で敗れたなら、調略を得意とする信玄、村上義清方の武将を切り崩して行くのである。
 これが、葛尾城の戦いと言う。
 信玄に切り崩されたのが、屋代政国。
直江密書の文中に出てくる、秀正の伯父さんである。
伯父さんが川中島の戦いで戦死したため、甥っ子の秀正が後継ぎになる。
 秀正は武田信玄に仕え、勝頼の代まで仕える。
信玄亡き後、信濃を占領していた織田信長配下の森長可に仕えていたらしい。
(森長可は、信濃海津城の城将だったことがある。ちなみに森蘭丸の兄。)

 信長が死ぬと、海津城は上杉領になり、上杉家家臣山浦景国と言う人物が城代になる。

 山浦景国、これが誰かと言うと村上義清の実子なのである。
 上杉謙信のもとに逃げた村上義清には、息子がいて、謙信の養女と結婚し、越後の名門山浦氏を相続するという幸運に恵まれる。
 それが、この山浦景国。

上杉景勝の時代、海津城の城将は山浦景国、副将が屋代秀正となる。

屋代と言う人、村上→武田→織田→上杉と、仕官先を替えながら、勤務地はずううっと信濃にいるのが面白い。

 しかーし、この上司と部下、因縁の対決があった。

 山浦景国の実父村上義清が信玄に敗れたのは、屋代の裏切りが原因である。
父義清は城も国失い、母も亡くしている。
 ってなわけで、山浦景国と屋代秀正うまく行くはずもなく、兼続の密書にある如く、逃亡。 
 この屋代秀正、徳川方として大坂の陣を戦い、褒美として甲斐に領地をもらう。
 そして、徳川3代将軍の座を争った家光の弟、駿河大納言忠長の家老となる。
 さて、見えて来ましたね。

 駿河大納言忠長は将軍秀忠の三男に生まれながら、兄家光との争いに敗れ、お家はお取り潰し切腹になった大名である。
 家老であった屋代も、蟄居謹慎の身となる。
 しかし、子の代で許され、安房国北条藩1万石(千葉県館山市)の城主となるが、財政難を理由に改易された。
 子孫は3000石の旗本として、生きたと言う。

直江兼続の密書に1行出ていた屋代秀正、なんともドラマティックな人生を送っている。

【2009.11.17 Tuesday 11:01】 author : いづな薫 
| 天地人or直江兼続 | comments(4) | trackbacks(0)|
この記事に関するコメント
いづなさん

はじめまして。中村主水と申します。宜しくお願い致します。
すばらしい記事です。大変勉強になりました。
リンクさせて頂いて宜しいでしょうか。
今後とも懇ろによろしゅう頼みます。

| 中村主水 | 2009/11/17 11:37 AM |

いづな殿、面白い。非常に面白いです。
ありますよね、こういう家。いろんなことがありながら、なんのかんのと言いながら言われながら、立ち回り、気が付けば幕末・明治まで続いちゃう。簗田氏を思い出しました。
| 今参り | 2009/11/17 7:21 PM |
中村主水さま

初めまして、いづな薫です。
お書き込み賜り、心より感謝申し上げます。
記事をお気に召していただき、嬉しいです。
私も、主水様の記事で学ばさせていただきます。
今後とも、よろしくお付き合い下さいませ。

>リンクさせて頂いて宜しいでしょうか。

 もちろんでございます。
どうぞまたお越しくださいね〜。
| いづな薫 | 2009/11/17 8:15 PM |
今参り殿

コメント御礼申し上げ候。
この密書、オークションで見たんだが、今参り殿もお誘いしたかったっす。
 予定があいませんでした。またお茶しようね〜。
立ち回りのうまさでは、藤堂高虎って言うすごい大名が居るじゃないですか。
「武士たるもの七度主君を変えねば武士とは言えぬ。」
見事なもんです。
| いづな薫 | 2009/11/17 8:29 PM |
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 仕事(技術・研究系)と人と環境に優しい生活を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、欧州サッカー、野球、音楽、登山、茶道、語学、刀剣鑑賞。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住→東京→Toronto

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