大河ドラマ 龍馬伝 幕末 古代 上杉
since 2007.5.21 ハーバード大学 白熱教室 | 戦国カフェ
   
 
戦国特に上杉家、幕末、古代、歴史を愛する日記です。時事問題も多いです。
 
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ハーバード大学 白熱教室
 固い番組なのに高視聴率、NHK「ハーバード大学・白熱教室」が大変面白い。
 実際の米ハーバード大学で行われた、1000人もの学生が聞く人気講義で、あまりの人気のため
非公開だった授業を、公開した。
先生は、マイケル・サンデル教授、専門は政治哲学だ。

 何が、そんなに面白いか? ページを閉じるのは、下の緑字をご覧になった後でお願いします。笑
 毎回二つの、刺激的な議題がサンデル教授の絶妙な語り口で語られる。

第1回 「殺人に正義はあるか」
Lecture 1 犠牲になる命を選べるか
Lecture 2 サバイバルのための殺人

以下続いて現在9回まで。
第9回「アリストテレスは死んでいない」
Lecture 19 ゴルフの目的は歩くこと?
Lecture 20 奴隷制に正義あり?

 私はアリストテレスの回に大変興味を持ったが、今回は、注目して頂く意味もこめて第1回の
「サバイバルのための殺人」を書く。

ひらめきこれは、19世紀に実際起きたことである。

 1884年9月20日、イギリス、4人の船乗りが乗船していたミニョネット号が沈没する。
4人とは船長ダドリー、一等航海士スティーブンス、船員ブルックス、給仕パーカーである。
 救命ボート乗り移った4人の食料は、蕪の缶詰2つだけで、真水はなし。

 最初の3日間は、何も食べず水もなかった。
4日目、蕪の缶詰をひとつ開けた。
5日目、亀を捕まえた。
その後8日間、亀と残りの蕪の缶詰1つで、4人は生き延びた。
4人のうち1人、一番若く身寄りのない、17歳のパーカーが、他の仲間が止めるのも聞かず海水を呑み具合が悪くなった。
 救命ボートの底で横たわり、既に死が近いように見えた。
 19日め、ダドリーがくじ引きを引こうと言った。
残りのものを助けるため、1人が死ぬと言うのである。
 しかし、これはブルックスに拒否される。
20日目、ダドリーがブルックスに見ないように言い、スティーブンスに、衰弱したパーカーを殺そうと合図した。
ダドリーは神に祈りを捧げ、「お前の最後の時が来た。」と告げた。
そして、ナイフで頚動脈をぶすりとやった。
4日間、身の毛もよだつ恵みを共有したと言う。
24日目、朝食(ひえー)を食べている時に、通りかかったドイツ船に救助され、3人は本国イギリスへ送られ逮捕される。


 彼らは、殺人罪として、裁判にかけられたのである。
 ダドリーとスティーブンスは裁判で、3人が生き残るためには、1人の死は仕方ないと主張した。
 検察官は、殺人は殺人だと主張した。
 
 サンデル教授は、聴講する大勢の学生に問いかける。

 「もし、自分が陪審員だったらどう裁く?

法的問題は、この際置いておき、「道徳的にどう思うか?」をサンデル先生は尋ねている。哲学の授業なので。
 
 学生の一人は、生き残るためにすることをしなければならない、と主張する。
またある学生は、人間が他の人間の運命を決めることはいかなる場合も許されないと言う。
ある学生は、殺人を犯した2人が、パーカーに同意を求めていたら?と提議する。

 サンデル先生の言葉が、笑いを誘う。「パーカー、殺してもいいかな?俺達は腹ペコなんだ!」
 同意を承諾した場合、正義があるとした学生が増えた。
殺人罪に問われたダドリーとスティーブンスは、故郷に家族がいて、家族がいなければ殺人は犯さなかった。
 一方パーカーは、身寄りのない少年である。
ダドリーとスティーブンスが生き残れば、多くの人の幸せが保たれるのか?
 多くの人の幸せなら、道徳的に正しいのか?

 昨日、菅新首相が会見で、「最小不幸の社会」を目指すと言っていた。
 これは、ベンサム(英・18世紀の哲学者・経済学者・法学者)の「最大多数の最大幸福」の言葉をもじっている。たぶん。

 ベンサムは、正しい行いとは「最大多数の最大幸福」だと唱えている。
ミニョネット号事件は、3人の命を救うために、1人が犠牲になった事件である。
 ベンサムは間違っている?いやそうではないと、サンデル先生と生徒の議論は白熱する。

 法的問題は置いておくと仰った先生だが、一応法的結末も記しておく。
 裁判にかけられた2人は死刑を宣告された。
しかし、世論は2人に同情し、ビクトリア女王の恩赦により禁固6ヶ月となったのである。

サンデル教授は、ミニョネット号事件、臓器移植、兵役、代理母、政治倫理など
興味深い題材を元に、正義とは?公正とは?、と、次々に問いかける。

その姿はまるで、現代のソクラテスだ。
 
 
 どんなことも鵜呑みにせず、疑問を持ち、調べ、考えることが大切だ。
 私たちに関係する重要事項なら、なおさらである。


 新政権を造った菅さんにも、ぜひ頑張っていただきたい。
そして、私もサンデル先生のおかげで、政治に対するより厳しい観察眼を得た。
 サンデル教授の授業は、残りあと2回だが、楽しみに待ちたい。(日曜18時・教育)

【2010.06.09 Wednesday 15:12】 author : いづな薫 
| 白熱教室 | comments(4) | trackbacks(0)|
この記事に関するコメント
こんばんは、いつもお世話になっております。
すごい番組があるんですね、知りませんでした。「サバイバルのための〜」の内容は、かなり考えさせられます。まだ私の結論は、出てませんが。

>どんなことも、鵜呑みにせず、疑問を持ち、調べ、考えることが大切だ。
深い言葉です、まさしくその通りであると言えます。流されていく日常の中、心に留め置きしておかねばならぬ言葉です。

いつもながら、深いお話をありがとうございます。また、よろしくお願いします。
| | 2010/06/10 12:10 AM |
sayuri様ですよね?笑

こちらこそいつもお世話になり、お礼申し上げます。

>「サバイバルのための〜」の内容は、かなり考えさせられます。

 はい。
他にも、すごい題材がありました。
「移植が必要な4人の患者が病院にいて、隣りの部屋に健康診断に来た男がいた・・・さてどうする?」
 どうする?!じゃないですよね、笑。

 いろんなテーマを哲学、道徳の観点から検証していますが、現在、高視聴率と言うのが、嬉しいです。
 先生が話術巧みで、とても楽しいんです。
サンデル先生の本を、買おうと思っています。
| いづな薫 | 2010/06/10 10:47 PM |
こんばんは。
すみません、本文の内容ばかりチェックして、抜けてました。お世話をおかけしました、すみませんm(__)m

移植が必要な・・・って、どうする?って言われても、ちょっと答えがすぐに出ません、私。確かにすごい題材ですね。
サンデル先生の本を買われるんですか?お話を待ってます。


| sayuri | 2010/06/10 11:12 PM |
sayuri様

分かっているので、大丈夫でありんす。
またお返事いただき、すみません。

>移植が必要な・・・って、どうする?って言われても、ちょっと答えがすぐに出ません、

 学生達もこれはそうでした。
でとある学生が言ったんです。4人のうち最初に亡くなった人のを移植すると。
 「名案だが、私の質問を台無しにしてくれた。笑」と先生。
日本でも陪審員制度がスタートしていますが、命の尊厳に対する問題も考える良い授業です。
| いづな薫 | 2010/06/10 11:37 PM |
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 仕事(技術・研究系)と環境に優しい生活、家族を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、欧州サッカー、クラッシック、登山、茶道、語学、刀剣鑑賞。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住、今東京/Tokyo

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