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since 2007.5.21 呪術の歴史 | 戦国カフェ
   
 
戦国特に上杉家、幕末、古代、歴史を愛する日記です。時事問題も多いです。
 
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呪術の歴史
 中東レバノンの地下墓室から、呪いの鉛板が出たと言うニュースを見た。
2〜4世紀の物で、日本の京都、広島、国士舘の3大学が、発掘したと言う。
解読された文字は、鉛板に書かれ1000字を超えるギリシャ文字である。
ラブララライン〜の呪いの言葉(何だか可愛い、笑)に続き、「足のない神々、大天使たち」を呼び出し、呪いをかける人物4人に「私が望む通り、猿ぐつわと恥の印と不名誉を与えてください」、「彼らの体を衰弱させてください」、「イエスに勝利を、アーメン」などと書かれている。

 人間、心の闇は古今東西あるようだ。
日本の奈良時代、平城京でも、呪術に使われた呪いの人形が、たくさん出ている。
目や心臓に、木釘を打たれた人形。
呪詛が露見すれば、死罪や遠島の刑罰に処せられたが、それでも呪い殺したい相手がいたのだろう。

呪術は、呪いのためだけではない。
当時人々は、治療法のない恐ろしい病の流行に悩まされた。
天然痘である。
遣唐使船など外国から船が着くと、西の方から天然痘が流行り始めた。
高い死亡率のこの病気は、都の貴族も例外なくかかり、人々をパニックに陥れた。
奈良時代前半に、絶大な権力を誇った藤原4兄弟が次々とかかり、737年にすべて落命した。

平城京からは、人面を描いた壷、皿、かめ、そして呪符木簡が多数出土する。
壷は、贖の小坩(あがないのしょうかん)と言われ、素焼きの壷に墨で人面を描いてある。

人々は、これをなで、息を吹き込み、水に流す。
なので、奈良〜平安時代の川や水の流れ付近の遺跡からはこれらが多く出土する。
犯した罪や、疫病、穢れを吹き込み、水に流したのだ。
呪術は、疫病退散の重要なしきたりだったのだ。
疫病退散の呪術は、日本の古代から伝わる”祓(はらえ)”の儀式や、中国の道教を起源としている。

これを、大祓(おおはらえ)と言う。
6月と12月の、晦日の日にこれを行う。
人面を描いたかめ、壷と同様、人形代(ひとがたしろ)も、ひと撫でして、息を吹きかけ、穢れや罪を移し、川など水に流すお祓いの道具である。
奈良時代、天皇の使う人形(ひとがたしろ)は、年間1884枚にも及んでいる。

この風習は、現代でも続いている。
今12月、街中を歩いていると、神社の「大祓」のポスターを見かける。
今月末尾は大晦日、罪や穢れを水に流す日である。

災厄から逃れる方法は他にもある。
近畿地方に伝わる民間信仰に、蘇民将来(そみんしょうらい)と言う伝承がある。
蘇民将来”とは何か?
人の、名前である。

ある時、スサノオノミコトが旅に出て、とある村で宿を求めた。
弟で裕福な、巨旦将来(こたんしょうらい)は、貧しい身なりのスサノオを断る。
しかし、兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は、裕福ではないが、スサノオを歓待して泊めた。
スサノオは、礼に茅の輪(かや草で作った輪)を与え、持っていると災厄から逃れることができると言った。
後に疫病が流行った時、兄蘇民将来(そみんしょうらい)は、難を逃れ、弟の一族は滅亡した。
別の説では、戦になって、弟巨旦(こたんしょうらい)の一族が、妻を除いて滅んだとも伝われる。
巨旦(こたんしょうらい)の妻は、蘇民の娘で、茅の輪を持っていおり、蘇民一族とともに難を逃れたと言う。


京都祇園祭の厄除けちまきには、「蘇民の子孫なり」と書いてある。
だから、災厄は来ないでね。と言う意味。


 本日京都清水寺で森清範貫主による、今年の漢字が揮毫(きごう)されました。
今年の漢字は、「暑」だそうな。
私は、「熱」かな?と予想しました。暑い夏とワールドカップに熱狂したので。笑

【2010.12.10 Friday 20:34】 author : いづな薫 
| 古代史 | comments(4) | trackbacks(0)|
この記事に関するコメント
いづな先生、失礼致します^^!


今回のお話も、大っ変勉強になり申し候!
確かに、血液検査やレントゲン、MRIなど存在せず、そも医術自体未成熟な当時の日本(大和?)のみならず世界に於いて、体内の臓器や血液などが病んでしまう"目に見えぬ病"を、"呪い"や"厄"と解釈したのは至極当然なことであると存じます。
しかし、その中でも何とかそれを乗り越えようとする人々の姿もまた、美しく候。
…発掘されているそれらの呪いや厄払いなどに用いた器具には、それを使った人々の"人生の1ページ"が詰まっているのですね^^

…いづな先生の描きし壷、カワイすぎにてとても捨てることなど出来なくて候TT!(笑)

>ラブララライン
確かに先生の仰る通り、妙にカワイくて候…(笑)
夢見がちな少女が、小型手鏡を開いた後にその名を叫べば、何者かに変化出来そうな響きにて候!(笑)


いづな先生、下拙、毎回興味深々にて勉強させて頂いております^^
毎回大変面白きお話、誠にかたじけのう御座います!


−追伸−
>おりまするるる〜

下拙…最早、完敗にて御座候…TT(笑)
先生が一瞬、江川達也殿の某作品の主役に思え申し候!!(☆るるーと君・笑)

−次郎左右衛門−
| 次郎左右衛門 | 2010/12/10 10:49 PM |
次郎左右衛門先生

いつもお世話になっております〜。
楽しいコメント感謝いたします。

>"目に見えぬ病"を、"呪い"や"厄"と解釈したのは至極当然なことであると存じます。
しかし、その中でも何とかそれを乗り越えようとする人々の姿もまた、美しく候。

 仰るとおりです。
人間は戦で戦ってきたけれども、病とも戦っていますね。
その戦いは、戦にも似て壮絶です。
顔の描かれた壷はいろんな表情があり、面白いです。
使った人に似ているのかもしれません。

>少女が小型手鏡を開いた後にその名を叫べば、何者かに変化出来そうな響きにて候!(笑)

 子供番組とかに使われそうですね。

>毎回大変面白きお話、誠にかたじけのう御座います!

 こちらこそお読みいただき、深く感謝申し上げます。
☆るるーと君って、何だろうと思い調べました。笑
この魔法使いみたいなキャラに私がオーバーラップ??笑
妙に親近感持ちました。(^m^ )クスッ
| いづな薫 | 2010/12/11 4:29 PM |
やや過去記事ですが、とても面白い記事なので思わずコメントしたくなりました。

ラブララライン〜、セム語系っぽい響きですが、ギリシャ文字で書かれているのだから、少なくとも呪いの本文?はギリシャ語なんでしょうね。最初の呪文だけフェニキア語とかアラム語などセム語系統の言葉とか?

古代日本の呪術も、なかなか怖いですね。昔読んだ永井路子さんの『悪霊列伝』を思い出しました。
| じゃいらーん | 2010/12/15 7:48 AM |
じゃいらーん様

連投嬉しいです、心より感謝いたします。
鉛板は2〜4世紀のものなので、古代ギリシャ語ですね。
3000年弱使われてきた文字です。
私の、学生時の親友がフェニキア、古代ギリシア、ラテン文字を研究のため学んでいました。難しそうでしたが。笑
呪術は、古代人にとって身近な術でしたね。
天変地異や疫病に悩まされ続けたのですから、その理由を祟りに求めたのでしょう。
| いづな薫 | 2010/12/15 8:41 PM |
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 仕事(技術・研究系)と環境に優しい生活、家族を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、サッカー日本代表、欧州サッカー、クラッシック、登山、茶道、語学。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住、今東京/Tokyo

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