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since 2007.5.21 大久保利通、巨大官僚組織 | 戦国カフェ
   
 
戦国特に上杉家、幕末、古代、歴史を愛する日記です。時事問題も多いです。
 
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大久保利通、巨大官僚組織
 昨日、NHKで大久保利通の番組(さかのぼり日本史)を見た。
私は、近代日本を作った大久保利通と言う政治家に大変な関心がある。

国家にとって、不利益なことは断じて許さない。」大久保の、政治姿勢である。
しかし彼が不利益な存在として戦った相手は、幕藩体制であり、古い武家社会であり、今で言えば利権グループである。

明治6年、大久保は内務省を設立し、自ら長官になる。
内務省とは、今の経済産業省、国土交通省、厚生省、警察庁などが合体したような巨大な官僚組織である。
昭和22年、GHQによって「力を持ちすぎる。」と、解体された。

明治初期、大久保は、日本の近代化のモデルを探るため、欧米視察する。
あまりに進んだ文明に驚愕しながら、「日本を近代化したい、国民ひとりひとりが力をつけなければ、国も力を持てない。」と
判断する。
大久保は、ドイツに日本が向かうべき近代化の模範を見出す。

産業を興して国を救うべく帰国した大久保を待っていたのは、朝鮮に出兵すると言う意見だった。
朝鮮派兵を唱えていたのは、大久保の盟友・西郷隆盛。
幼馴染で、血よりも濃い縁で結ばれた革命の同志である。

「今、命を失い、国家予算を使えば、国は疲弊する。」
大久保は、いかなる時も助け合って来た西郷に、真っ向から異を唱える。
西郷は下野し、大久保は政府の中心的人物に収まった。
当時の主力輸出商品であった生糸の生産を拡大。道路を整備し、輸送を支えた。
前島密(まえじまひそか)ら、新政府に有用なら幕臣でも分け隔てなく登用した。
政府の援助により産業は発展したが、多大な出費を伴うものだったのである。

予算を確保しなければならない。
大久保は、国家予算の4分の1を占める、旧士族の家禄に目を付けた。
士族は、特に仕事を持たずとも、禄で食べている。

家禄停止。
士族にとっては、経済的困窮とともに、死よりも重い”名誉”を失うことである。
言うまでもなく、士族の反発を呼んだ。
各地で、士族反乱が起き、九州では西郷隆盛率いる不平士族と政府軍との間に西南戦争が勃発した。
大久保は、政府軍6700人を派遣。
それでも西郷らの薩軍は強い。幕末最強と言われた武士団である。
戦況が悪くなる政府軍に追加されたのは、抜刀隊と呼ばれる警察官中心の部隊である。
彼らの中には、会津藩出身者がいた。
なぜか。
会津藩主が京都守護職時代、会津によって薩摩は京都でかなり藩士を斬られている。
戊辰戦争の時、薩摩は会津に攻め入り壮絶な戦になった。
西南戦争は、薩会の報復感情があったとも言える。

西南戦争の中、大久保は上野で「内国勧業博覧会」を開催する事となる。
資金のない人には出資し、運搬費用持つ。
優秀作品は、パリ万博へ出品を約束した。
西南戦争で戦費が拡大し、批判も多かったが、大久保は新聞に「博覧会は絶対開催する。」と発表する。
国の力を形で示し、それを内務省が牽引していることのアピールを含んでいた。
博覧会は、成功を収めた。

大久保はこの半年後、皇居近くの紀尾井坂で、不平士族の凶刃に倒れた。その理由は、
・大久保は政治を私物化している。
・国の金を、いたずらに費やしている。

大久保の死後、憲法改正、議会制民主主義が生まれる。
これがやがて、自由民権運動へと発展するのである。
民衆は、大久保とは違う形の近代化を選択した。

大久保は官僚主導の政治を目指したが、彼はもともと薩摩の下級武士出身である。
薩摩藩のお家騒動で、父とともに謹慎処分になり、大久保家は困窮を極める。
やがて、盟友西郷隆盛と共に倒幕し、西郷と離反してからは、不屈の闘志で近代化をまい進させている。
彼は、国を支える新たな産業に金が必要ならば、かつての特権階級であった士族から禄を奪った。
戦が日常茶飯事の中で、大規模な政策転換すれば、命がいくつあっても足りない。
不平士族から、私腹を肥やしていると非難されたが、大久保が死んだ時、多額の借金が残った。
ポケットマネーで、公共事業したからである。

彼は、暗殺されることを覚悟していたはずだ。
”自らの命より”、「日本の近代化」を重んじたとも言える。
西郷もそれを知り、大久保の作る新しい世のため、不平士族と心中したのかもしれない。

明治11年5月14日朝、大久保利通は不平士族により暗殺された。
その死の時、盟友・西郷隆盛の手紙を持っていたと言う。

幕末の状況、今の電力問題と似ているとしばしば思う。
利権を離すまいとする勢力と、新たな方向へ向かおうとする勢力。
昔は衝突すれば戦になり、多数の犠牲を出す。
この点今とは違うが、政治的には次に何が起きるか、何をなすべきか、想像が付く。

昔も今も変わらず、言えることがある。
猛烈な反対に遭いながら、犠牲を払いながら、「歴史は決して後戻りしない。」、のである。

【2011.07.20 Wednesday 19:08】 author : いづな薫 
| 日本史  | comments(2) | trackbacks(0)|
この記事に関するコメント
こんばんは。

あまり人気のない大久保ですが、近代日本の建設に命を捧げた大功労者なんですよね。

ごくありふれた熟語も満足に読めなかった某元首相の姿に、大久保利通の遺伝子もここまで劣化したか、と悲しくなったことを思い出しました。

明治維新から何世代も経過して、現代の諸制度が当たり前になってしまっているのと、戦前、「維新の元勲」をリスペクトしすぎた反動なのでしょうが、彼らの功績が半ば忘れられている状況なのが残念です。
彼らの全てを肯定する気はありませんが、彼らが現代につながる日本の礎を作った事実は、日本で暮らしている以上、きちんと知っておくべきだと思います。

そういうことにきちんと触れないで、新選組だとか人斬り以蔵だとか、殺伐とした幕末でもかなり道義的に問題のあった人たちをやたら美化してヒーロー扱いし、お涙頂戴ドラマを垂れ流す公共放送に、視聴者をああいう人間にしたいのかと勘ぐってしまいます。

申し訳ございません。いささか感情的になってしまいました。

| じゃいらーん | 2011/07/20 8:24 PM |
じゃいらーん様

連投嬉しいです。
大久保、大変な政治家だと思っています。
坂本龍馬も良いんですが、大久保も西郷も好き。
残念ながら、大久保の子孫には妙なのが数人も出てますね。笑

BS?で、新選組血風録を放送しているのでしたか?
司馬さんの原作は名作ですが、新撰組自体は文学や創作の人気ですね。
歴史学的評価ではないので、良いとしましょう。
(放送で言えば、原発擁護のバカ記事流すメディアは罪ありです。)
以蔵は、史料を読み解くと当時の社会の被害者でもありますね。
龍馬伝の以蔵は可愛かったです。すみません、軽くて。笑

もうひとつのメールに書きましたが、メルアドの件、よろしく〜。
| いづな薫 | 2011/07/21 9:24 PM |
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 仕事(技術・研究系)と人と環境に優しい生活を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、欧州サッカー、野球、音楽、登山、茶道、語学、刀剣鑑賞。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住→東京→Toronto

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