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since 2007.5.21 坂の上の雲感想 「日本海海戦」 | 戦国カフェ
   
 
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坂の上の雲感想 「日本海海戦」

日本海海戦の最中、砲弾の大音量の中、メガホンと大声と黒板で伝達して行く様子が興味深い。
炸裂する轟音の中では、人の声はかき消され、そのほかにもラッパを使い音を何回と決めたりして、伝達に正確と迅速を期している。

その砲弾だが、日本が使った火薬を下瀬火薬と言う。
発明家であり、海軍技師・下瀬雅允(しもせまさちか)が実用化したピクリン酸を成分とする爆薬である。
これが、鉄をも燃やすと言われた、当時驚異的な焼夷力を持っていた。
日露戦争の勝因の一つと言われた爆薬でもある。
破壊力が主なロシア砲弾に比べ、日本のは命中弾が炸裂しことごとく火災を起こした。
戦の前には、燃えやすい机や椅子は海に廃棄するが、ロシアの高級軍人の中にはこれをしない者がいた。
撃ち込まれた日本の下瀬火薬によって着火し、大火の元となったのである。

日本艦隊の被弾は三笠に集中し、右舷40発、左舷8発を吸い込んでいる。
多数の死傷者を出し、東郷の胸先15〜6cmの所を砲弾の破片が飛んでいる。

この時の日本の戦艦は4隻、装甲巡洋艦8隻など計108隻、ロシアは戦艦は8隻他、計38隻。
戦艦三笠が1番前を航行し、盾となるのは東郷は覚悟の上だったろう。
日本艦隊の中に「日進」と言う、三笠の次に被弾量の多かった船がある。
7700トン、戦艦三笠の半分くらいの装甲巡洋艦である。
装甲巡洋艦とは、速力こそ速いが、戦艦のように装甲版が厚くなく、積載している大砲も小さい。
日進は装甲巡洋艦なのに、仰角が大きく射程距離の長い砲弾を積んでいたため、戦艦三笠の近くに置かれてしまった。
東郷と秋山真之が実行した、敵の頭を抑えるT字戦法は、戦艦の装甲版の厚さと大砲の威力でこそ可能な戦術で、装甲版の薄い小さな「日進」が付いて行くのは無理がある。

ロシア砲弾が、日進の薄い装甲版を破り被害を多く出し、司令官三須宗太郎(みす そうたろう)中将以下、多くの死傷者を出した。
三須宗太郎(みすそうたろう)は、幕末暗殺された井伊大老の彦根藩出身で、薩摩閥に占められた海軍において、異例の出世した人物である。
重傷者の中に、高野五十六と言う候補生がいる。後の、山本五十六である。(日進の砲身内で誤って破裂したための怪我の説もある。)

東郷は、秋山真之の立てた戦術どおりに艦隊を動かしている。
真之の立てた戦術とは、「まず敵の中心的存在の旗艦スワロフを討ち取る。全力をもって敵の分力を撃ち、敵を包むが如く運動する。」
これは、日本古来の水軍が用いた戦法である。

ロシアと日本の射撃法が異なる。
日本が、ロシアの頭を抑えるべく回り込む間、日本艦隊は大砲の角度から砲撃は不可能に近く、敵は静止目標を撃つ如く砲撃しやすい。
この間、ロシアは散々撃ってはいるが、それぞれ勝手に撃つため、海に落ちた砲弾の水煙が上がり、正確な距離が分からないでいる。
日本は、回りこみ運動をしている間こそ、撃たれっぱなしだったが、それが終わると、三笠の被弾量の比でないほど、ロシアに命中弾を打ち込んでいる。
 試し撃ちを一度して弾着地点を見極め、それを三笠にいる砲術長の安保清種(あんぼきよたね)が各艦に”敵艦までの距離”を伝達したのである。
安保清種(あんぼきよたね)は前回の感想にも書いたが、真之の阿波踊りを目撃し、東郷に「どちらで戦をなさるのですか!?」と聞いていた人物である。後に海軍大臣になった。

日本の鮮やかな勝利は、日本の頭脳戦によるものである。
勝利は不可能の言われた戦争に、考え抜くことで勝利を引き寄せ、精神論を持ち出さず、より敵に多くの命中弾を送り込むことで、機能と合理性に徹している。
勝つためには、勝てるような条件を揃えなければならない。
東郷のような、勝機を掴む勘も必要だ。「勝機を掴んで猛撃を加える。」ことが海戦で勝つために必要なことだと東郷は後年述べている。

戦争のみならず、震災後問題となっている原発など変革しなければならない諸問題についても言える。
変革させるためには、”無能な指揮官を排除して、勝てる条件を揃えなければならない”と言うことだ。

日露戦争後、秋山兄弟が、故郷の愛媛で釣りを楽しんでいるのが良かった。

「おまえは、ようやった。」と弟を褒める、兄好古。
悪童だった真之が、10歳違いの兄を終生尊敬していて頭が上がらなかった。

真之が生まれた時、貧乏で、貧乏で親が、「赤ん坊を寺に入れる。」と言うのを、この兄が「お豆腐ほどの厚みのお金をこしらえてくるから、寺にやらないで。」と懇願した。
兄は、本当にその通りにした。

100年余り前、日本存亡の危機をその知恵と明るさで乗り越えた、兄弟と家族、親友の良い物語を見せていただいた。
心より、感謝したい。


【2011.12.27 Tuesday 20:02】 author : いづな薫 
| 坂の上の雲 | comments(4) | trackbacks(0)|
この記事に関するコメント
いずな様の感想文、楽しみにしておりました。しかし凄まじい海戦描写でしたね、CGを担当した方は相当に戦争中の実写フイルムや資料をみたのでしょうね、あとは自分の腕しだい天才だと思います。長官、バルチック艦隊は白旗を揚げております。武士の情けです。いや、まだ敵は動いておる、降伏する場合、国際法では艦を停止せなばならん。長官、バルチック艦隊は停止しました。砲撃やめー砲撃やめー。いずな様、これが日本人ですよね、串かつはこのシーンで号泣しました。ようやった、それでよい、それでよい。東京電力も潔く白旗を掲げれば、国民から武士の情けを頂戴できたかもしれないのに、馬鹿だな。いずな様もそう思われるでしょう。それと乃木が嬉しそうにロシア兵と写真に納まっていますが神経が分かりません。乃木に言わせると戦いの後は敵も味方もないそうです。なら最初から話し合いで決めろ、そうはいかないか、亡くなった兵に申し訳ないと思わないのですかね。
| 串かつ | 2011/12/27 9:42 PM |
串かつ様

私も串かつ様のコメント楽しみです。
感謝申し上げます。
海戦描写は本当に力作でしたね。ロシア軍艦が火災を起こしている様子は凄かったです。

>まだ敵は動いておる、降伏する場合、国際法では艦を停止せなばならん。長官、バルチック艦隊は停止しました。

この時の、真之の人道的な感情と東郷の指揮官としての冷静さが際立っていたと思います。
それは、真之の若さでもあり、真之誕生の時すでに海戦に出ていた東郷の熟練でもあったと思います。

>これが日本人ですよね、串かつはこのシーンで号泣しました。

うるうるしますね。

>東京電力も潔く白旗を掲げれば、国民から武士の情けを頂戴できたかもしれないのに、

事故後、原発事業に携わった学者達の謝罪文が新聞に掲載されましたが、確かにこう言う方たちには単純な原発推進派とは違った印象を持ちます。
東電はこの期に及んで、値上げは当然の権利と言い放っています。ならば義務はどうしたのか?と問いたいです。
大きな地震津波ををわざと想定せず、起きると想定外と言います。想定しないのが悪いですよね。

乃木の理屈は戦がスポーツ感覚ですよね。
平和な江戸期にあれば静かな良い武士でしょうが、避けられない戦なら被害を最小限に抑え勝つことが指揮官の使命ですね。
形骸化した軍略を受け継いでしまった武人達が、近代兵器を前にして、多大な人的損害を出してしまったのが失敗です。

串かつ様、またお越しくださいね(^ー^)ノ。
| いづな薫 | 2011/12/28 8:52 PM |
あけましておめでとうございます。
坂の上の雲。現実の戦争の悲惨さをリアルに描いてましたね。
人間の描き方も素晴らしかったです。竹下景子さんを筆頭とする
女優さんたち皆さんが、美しくたくましい明治の女になりきってました。病の身で息子を待ち続ける母の姿に心打たれました。
いよいよ平清盛が始まりますね。いずなさんの感想を愛読させていただきます。
| ゆみちゃん | 2012/01/05 6:04 PM |
ゆみちゃん様

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくコメントください〜。
坂の上の雲、希望に満ち溢れた秋山兄弟の若き日から、戦争に明け暮れた壮年時代、明治と言う時代を本当に良く描いたと思います。

>病の身で息子を待ち続ける母の姿に心打たれました。

親だから帰って来るのを待っていなきゃならない、と言うお母さんに涙。

>平清盛が始まりますね。いずなさんの感想を愛読させていただきます。

そう仰っていただき、感謝申し上げます。心して書きます!
PS.戦艦三笠を見て来たのでまもなくレポをUPいたします。ご覧下さいね〜。
| いづな薫 | 2012/01/05 8:59 PM |
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 仕事(技術・研究系)と人と環境に優しい生活を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、欧州サッカー、野球、音楽、登山、茶道、語学、刀剣鑑賞。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住→東京→Toronto

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