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since 2007.5.21 パリ白熱教室 第4回 強まる資産集中〜所得データが語る格差の実態〜 | 戦国カフェ
   
 
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パリ白熱教室 第4回 強まる資産集中〜所得データが語る格差の実態〜
約100年前、フランスの1919年の所得データをピケティ氏が提示する。
当時、フランスではなんと単身者の所得の割り増し税制があった。
独身者は、25%の割り増し。
既婚でも3年以内に子供を持たねば、10%の割り増し。
税制面で、結婚、出産が奨励されていたのである。

税制を作る上で、重要なことは、関連のデータを集め議論しなければならないと言うことである。
政治家は、思い込みが時として激しいので。

第一次世界大戦のトラウマで、当時フランスはドイツに出生率で負けてしまうと脅迫観念があった。
フランスは、強力な出産奨励策を取り、それが単身者25%増し課税である。
この税制は、1945年まで続いている。

単身者が1
夫婦子供なし世帯2
子供1人 2.5
3年たっても子供がいない世帯1.5

数が少ないほど税金が高く、多いほど安い。
これを家族指数と呼び、1945〜1953年まであった税制である。

19世紀〜第一次世界大戦まで、欧州の資産不平等は極端に大きい
100年前は、上位10%が90%の資産を保有した。
2010年はどうか。
欧州 上位10%が60%
米国 上位10%が70%保有。
1970〜80年頃からまた資産格差が拡大し始めている。

19世紀の米国の格差は欧州ほどではない。中間層がかなりいた。
欧州は、長い歴史の間で世襲による相続があるので、格差が大きい。

第一次世界大戦の頃、フランスの相続税は1%である。
税率が低いので、脱税もない。
金持ちの私有財産権を、守るようなものである。
フランスは、1800年頃から土地、金融資産、ありとあらゆる資産に税金がかけられた。
フランスに、現代的な税制が出来上がったのはこの頃である。
これは、フランス革命のお陰である。
英国は1910〜20年に出来ている。
フランス革命で、貴族、教会の土地が没収され再分配された。
しかし、20世紀の格差と比較すると、革命直後の格差の方が大きい。

第一次世界大戦前のパリ市民は、相続するのは数枚の皿のみ、着の身着のままと言う有様である。
第一次世界大戦の頃まで、どこもかしこもとんでもなく不平等な社会だった。
スウェーデンは、平等な国というイメージがある。
しかし、第一次世界大戦までは不平等な国である。
それが、1980年頃には、上位10%の資産シェアが50%になり不平等がとても小さくなった。

いずれの国も、その国の制度がずっと続くことはなく、不平等や平等がずっと続くことはない。

1872年〜1912年のフランスのデータを見てみる。
最上位1%の金融資産保有者は、株を多く持っている。
スエズ運河などへ、海外へ、積極的巨額投資をしている。
様々な金融商品を売り買いし、現代的な経済である。
パリでは、不動産価値が大きく、パリ以外では不動産価値は小さい。
当時からフランスは、農業経済ではなく極めて現代的である。
(100年前は、自分で直接株を買う。今は、証券会社などを通して買う。)

・予備貯蓄モデルについてピケティ氏が語る。
予備貯蓄モデルとは、将来予測出来ないことに対して貯蓄しておこうと言うモデルである。
例えば、ボーナスがもらえなくなった時、失業した時のために、貯蓄しておくと言う物である。
所得の変動が毎年あったら困るので、貯蓄する。
それは、資産蓄積を目的にするのとは違う。

・ライフサイクルモデル
ノーベル賞受賞の経済学者フランコ・モディリアーニ(1918〜2003)が唱えた考え方。
こちらは、老後のために貯蓄するモデルである。
就職して、定年になるまで働き、死ぬまでに使い尽くす。

モディリアーニの三角形

図は、就職して収入が増え、定年で後の寿命を資産を切り崩し生きて使い切る様子を表す。

そして、月500ユーロ、1000ユーロで暮らす人も、月5000ユーロで暮らす人も、老後に必要な分以外は貯蓄しないと言うのが、モディリアーニを興奮させた発見である。
それ以前は、所得水準に合わせて貯蓄率も上がると考えていた。
貯蓄よりも、寿命と人口(人口動態)に左右されるのである。
しかし、これには問題がある。

退職後の生きる年数が長いと、たくさん貯蓄が必要である。
その国の国民が70歳まで生きるとして、国民所得の5年分、80歳まで生きると国民所得の10年分必要との試算である。
これには、莫大な蓄積が必要である。

そんな巨額資産を蓄積する国はどこにもないからだ。
そう、国民所得の5倍もの年金資産を蓄積している国はない。


ライフサイクルモデルでは、相続資産をとらえられない。

・ライフサイクルモデルと対照的なのが王朝モデル。
王家の人々のように、資産を使い果たすのではなく次世代を自分の事のように大事にして資産を残す。
巨額の資産を持ち、それを投資し更に富を生む。

現実世界は、ライフサイクルモデルと王朝モデルの間である。

・ランダムショックモデル。ピケティ氏が名づけた。
現実世界では、資産相続を前提しても予期せぬ移動とか浮き沈みがある。
偶発的な変化が起きるモデルである。
親が早く亡くなったり、子供が沢山いて資産が分割する場合もあれば、3世代に渡って子供が1人と言う場合もある。
沢山資産を集める人もいれば、そうでない人もいる。
ランダムショックモデルは、変動要素を組み込んで考える。
つまり、資産規模の違う人々の間の移動を考えるのである。

ピケティ氏は生徒たちに言う。
「君たちは今は貧乏でも、ビル・ゲイツのようになれる可能性があるしビル・ゲイツも貧乏になる可能性がある。常に起こり得る。可能性は低いけれど、ないわけではない。」

このランダムショックモデルの重要な発見は、資本収益率 r (利益÷投下資本で算出。投下資本とは企業が事業のために使うお金と 経済成長率 g との差が少しでも変化すると、2%から3%、または3%から4%になっただけで長期的には大きな変化が生まれるということである。

多忙のため、6日遅れでピケティ第4回を見ました。

【2015.02.05 Thursday 21:16】 author : いづな薫 
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 仕事(技術・研究系)と環境に優しい生活、家族を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、欧州サッカー、クラッシック、登山、茶道、語学、刀剣鑑賞。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住、今東京/Tokyo

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