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since 2007.5.21 白熱教室第6回 これからの資本主義〜再分配システムをどう作るか〜 | 戦国カフェ
   
 
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白熱教室第6回 これからの資本主義〜再分配システムをどう作るか〜
ピケティ教授講義の最終回、どうすれば格差を減らせるか?その答えに挑む回である。

19世紀の米国は、欧州よりも格差が少ない。
欧州は数世紀に渡り、富を蓄積して来ている。

大きな資産ほど収益率が高く、強い不平等をもたらす。
5回めで触れた、大学基金ぐらいなら研究に使われる程度なので大したことはない。

ソヴリンウェルスファンドについて。
ソヴリンウェルスファンドとは、政府などが出資するファンドのことである。
政府のみならず、個人が天然資源を持っていることがある。
大変収益性が高い。
アブダビ(アラブ首長国連邦)とノルウェーは、このファンドを7000億ユーロ(98兆円)以上持っている。
全米大学基金より多い。

利回りの悪い米国債などを買う目的は、軍事的支援など政治的見返りの場合もある。
ソヴリンウエルスファンドの総計は、主要産油諸国&中国など非産油諸国合計で5兆5千億ドルもある。
ノルウェーが、海外に公式保有する資産は、ノルウェーの年間GDPの2倍である。
生産で生み出す所得より、国外からの資産所得の方が大きくなる。
かつてなかった状況である。
ノルウェーや、その他の国々の経済バランスや不平等の考え方を変えるほどのものだ。

重要なことは、国際資本市場では直接戦略や資産規模による投資の違い、収益性格差も大きい。
つまり、極端な格差を生む。
莫大な資産が、いくつかの国々や上位グループに流れ込み、その他は置き去りにされる。
この現象は、将来ますます拡大を見せる。

オフショア資産(海外にある資産)について。
国外に持つ資産から、負債を引いた純資産の世界のGDPに対する割合は以下である。
日本は、世界のGDP費に対し4%。
長年の黒字で、国外に巨額の純資産を溜め込んで来た。
欧州も米国もマイナス。
ドイツは、今や日本より早いスピードで在外資産を増やしている。
世界全体の合計はマイナスだ。ゼロになるはずなのにならない。
世界の金融負債が、金融資産を上回る。
資産の一部を火星人が持って行ったようだ。とピケティ氏。
世界の貿易収支、経常収支も同様にマイナスになる。
輸入だけがあって輸出だけがある。
「国際金融統計の不整合」と言われるものである。

その額、なんと世界GDPの10%である。
10%どころじゃない!と言う人もいる。
とにかく、世界のGDP10%分の資産が行方不明なのである。
資産はどこにいったか。
多くはタックスヘイブン(租税回避地)に隠されている。
これを様々なデータソースを合わせてはじき出そうとと言う試みがある。

資本規制について。
20世紀における先進国の税収は、GDP比10%から40〜50%まで上昇して来た。
財政規模の大部分は、年金や失業手当である。
教育、医療サービスの提供などによって現物給付による移転所得も行われている。
現物給付による移転所得とは、わずかな料金でサービスを受けられたり教育が無料だったりするものである。
米国における、人口下位50%が受け取った移転所得の多くは低所得者のために医療扶助である。
これが、ここ30年間で急増している。
米国は、国民皆保険がないが高齢者や貧困者のための医療制度がある。
医療を受ける人が多ければ、医療費が増大する。
医療給付は、医療サービスを受ける人のためか、それとも製薬会社のためにある制度か?
これが、今米国で激しい論争になっている

フランスの高等教育は、無償かもしくは無償に近い。
エリートのためのグランゼコールに行く人たちは、普通の大学に行く人とは違う。
もっともリッチな人々は、貧しい人たちに比べ公的恩恵を受けやすい。

ポイント1
不平等の構造と支出を検証する。
ポイント2
21世紀は、財政規模の急激な拡大は起きない。
政府が大きくなった先進国では無駄な支出を省き、制度を簡素化する必要がある。

ブルガリアやルーマニアは、税収がGDPの20%の財政規模である。
小さな政府は、繁栄のための条件ではない。
もし、繁栄条件なら、ブルガリアやルーマニアはスウェーデンやデンマークより豊かになっていたはずである。
大事なのは使い方、中身である。

富裕国の税収の推移。
2010年のデータ。
スウェーデン 53%
フランス   50%
英  40%
米  30%


ピケティ氏が理想的だと考える税体系は、
累進的所得税
累進的相続税
累進的資産税
この3つが揃っていることだと言う。

最上位層の累進性は重要である。
その意義の大半は、最上位層の労働所得を押さえ彼らの利益追求をコントロールする所にある。
ピケティ氏は、極めて高い税率が税収を増やす方法だとは考えていない。
大多数の人にとって、所得税の税率はそれほど累進的ではない。
社会保障税を含めると、みな極めて高い税率を払っている。
上位層の税率は極めて高いが、歴史的に大きく変換した。
税率を高めたのは、最上位の所得を押さえるためのものだ。

1913〜14まで、世界に所得税は存在しない。
その前は間接税である。
1913年、米国が導入。
1914年、フランスが導入。

これまでの、所得税最高税率は90%で100万ドル以上の高額所得者が該当した。
米国で言うと、1940年ごろと1950〜60年前半のことである。
高い税率が、米の資本主義を損なったわけではない。
1000万ドルも、100万ドル受け取っても大したことはない。

1946〜48年、ドイツで米国が税制を作っている。
この時、ドイツでも最高税率は90%である。
米に支配されていた時代である。
ドイツも日本も、1950年税制主権を回復し90%から50%へ改められた。
米国は、ドイツや日本を懲らしめるためにやったのではない。
米国が自国内で採用していた制度である。
近代化の一環である。
民主的制度と財政制度を結びつけ、極端な所得の集中がないようにした。
民主政治が金権政治に陥るのを防ぐためである。
これは、当時の実際の通念である。

米国が世界恐慌から受けたトラウマがある。
1920年ごろ、所得格差の拡大で大企業の一部の人に富が集中した結果、同時に世界恐慌をもたらした。
その結果、第二次世界大戦にまでなってしまったと米国は考えた。
金融経済システムが破局し、人々は大いに狼狽した。
当時の米国は、世界恐慌を起こしたことに強いショックを受け高い税率を制定した。
富裕層による、資本主義の私物化が行き過ぎた不平等をもたらし、政治経済の不安定を生み出すと言う認識である。
政策がショックの一部だった。

2010年、仏英の相続税の税率は40%前後で、独が30%である。
1940〜1965年当時、米英は80%くらいあった。
仏、独は、戦争で資産が破壊され再分配が既に行われていた。
最高税率を高くする必要がなかったのである。

税制だけが、富の再分配(資産分配)ではない。
戦争が資産を破壊したり、極めて高いインフレでも資産分配は起きる。

米国では、相続資産は子供だろうが、友達だろうが、愛人だろうが、税率は同じである。
フランスは、子供以外は非常に高い。

イタリア、スペインは成長率が低く、労働所得増加率は極めて低い。
民間資産、不動産、金融資産からの収益割合が増えている。
伸び悩む労働所得課税を少し減らし、資産課税を増やしている。
イタリア、スペインは2年前に固定資産税を復活させている。

英では、最近豪邸税をめぐる論争が起きている。
大きな不動産に課税するものである。
前政権の、労働党が数年前導入した税制で100万ポンド以上の邸宅譲渡対し5%課税した。
保守党が政権を取り、今度は200万ポンド以上の邸宅譲渡に7%の課税をした。
不動産資産は逃げないので、課税しやすい。
ロンドンに構えた邸宅は格好の餌食である。

労働所得が伸び悩んでいるのに、高額不動産に課税しないのは馬鹿げているとピケティ氏。
次の選挙では、超党派が税率を引き上げようとするだろう。

この動きは多くの国で起こって来る。
もちろん、日本でも。
今年2015年から、日本も相続税控除額が引き下げられている。

相続時1回だけ課税され、相続されればどう運用されても毎年課税されることはない。
毎年払う固定資産税はどこの国でもある。
米英は、不動産に対する税率は定率課税である。
10万ユーロのアパートでも、100万ユーロでも、1000万ユーロの大邸宅でも比率はほぼ同じ。
金融資産を考慮していないだけでなく、住宅ローンなどの借入金も考慮されていない。
40万ユーロの不動産を持っていても、39万ユーロのローンがあれば純資産は1万ユーロで、それほど豊かではない。
純資産に対しては累進課税されれば、今払っている固定資産税より少ない額で済む。
税率を下げるべき人は下げ、上げるべき人は上げる。
そして、税収を維持する。

”定率課税から累進課税へ”の移行を、ピケティ氏は主張する。
なぜ、相続時に1度だけ課税するより、毎年資産に対して課税することが大切なのか。

課税に対し納税者は錯覚を持っている。
人々は、多額の相続税を払いたくない。
田舎の実家を相続するのに、30%の相続税を払うのは嫌だ。
納税者はずっと払うのを理解していないのか、1%ずつ30年間払う方を選ぶ。
結果的に、かなりの額になることを理解していないのか。
問題は、資本市場の不完全さにあるとピケティ氏。
資本市場の不完全とは、つまり、借金返済能力があるのにもかかわらず、資金を借りることが出来ないということである。
資本市場が完全なら、資金を借りることが出来る。
借金してでも、相続時に払った方が良い。

相続した後も、個人または資産額によって収益率が違う。
1973年10万ユーロのアパートを相続して、今や500万ユーロになる場合もある。
年々20万ユーロの家賃収入を生む、そんなこともある。
だから、相続時に一括課税し、その後課税しないのはばかげている。

上位1億分の1の資産保有者・実質成長率、6.8%
上位2千万分の1の資産保有者・実質成長率、6.4%
彼らに、1〜2%の税率を課しても大したことはない。
彼らの資産運用は、利回りの悪い国債などではなくもっと高利率の6〜8%が当たり前の金融商品である。
だから、税率は1〜2%どころかもっと高くても良い。

累進的資産課税が重要であり理想的だとピケティ氏は考える。
もし、6〜8%の速さで増加しないなら、税率をそれほど高める必要はない。
経済成長率1〜2%なら、累進課税する必要はない。
しかし、おそらく経済成長率を資産収益率が上回る。
累進課税はやむをえない。
いずれにしても、正確な情報を基にして適切な税制が必要である。

【2015.02.17 Tuesday 14:20】 author : いづな薫 
| 白熱教室 | comments(2) | trackbacks(0)|
この記事に関するコメント
社会は、分業という形態をとり維持されている。遊んで暮らすことを許さない。それぞれが持ち場を守って、正しく仕事に精進することが、社会生活のルールであろう。商人や工業者、偽政者、偽官僚が、欲につられて、正しく精進することを忘れたり、怠け者が出てくると、全体のバランスを失い、貧富の差が激しくなってくる。日本の国は怠け者が沢山いる。その怠け者を生産しているのが日本政府と霞ヶ関官僚であろう。福島では避難者に一人たり10万円/月を支給している。5人家族だと50万円/月になります。そうすると600万円/年になるな、仕事していなくても年600万円の収入があるんですから楽ですよね、もう4年だから2400万円を一家族が国民の皆さんからいただいたわけですね。避難者は何十万人ですから、凄いことになっていますよ、商売している場合はその保証も莫大です。仮設住宅に一人住むようにして、マンション借りてるつわ者もいるそうな。なんでも大熊町の住民は30万円/月にしろと騒いでいるらしいです。この不景気に世も末ですね、皆さんの血税ですよ、今確定申告真っ盛りですが、古賀さんの言ってることも分かります。しかし、何も仕事しないで2000万円/年取っ払いの野党国会議員と秘書連中よりましか、あと地方議員もいたな、貧富の差が激しくなるのは政府が悪い、普通に当たり前か。
| 串かつ | 2015/02/22 7:01 PM |
串かつ先生

コメントありがとうございます。
遊んで暮らすことを許さない、そう願いたいです。

現状は昔から凄いことになっています。
私が子供の頃も今も、働いていないおじさんって近所にいます。
生涯ずっと、定職に就かないけれど富裕番付に出るほどの大変なお金持ちです。
働く必要ないのです。
それで、議員になったりするのです。
私の知る限りでもこうだから、超富裕層の世界は桁が違います。
何か才能があって事業に成功し、労働所得で大きな富を得るなんて資産所得格差に比べたら大したことないのです。
資産所得を沢山得る層は、才能はなくても油田や世界的大企業のオーナーの地位を相続して、資産が勝手に増えて参ります。
格差は、政治的に介入しないと社会が持ちません。

官僚は、自己の才能に対し大しした報酬は得てないので高額の天下り席があって当然と考えているでしょう。
| いづな薫 | 2015/02/23 9:29 AM |
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かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住、今東京/Tokyo

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