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戦国特に上杉家、幕末、古代、歴史を愛する日記です。時事問題も多いです。
 
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マグリット展
マグリット展を見て来た。

私は学生の頃、ベルギーの国民的画家ルネ・マグリットにはまったことがある。
摩訶不思議なトロンプルイユ(だまし絵)のような世界である。
何が架空で、何が本当なのか、何が見えて見えないのか、謎解きのような作品が多い。
どう考えようとあなたの自由なのだと、マグリットは言いそうだが。

1898年11月21日、マグリットはベルギーのレシーヌと言う町で生まれている。
父レオポ−ルは、仕立て屋でその後植物油のセールスで成功を収めている。
裕福な家庭だったが、マグリットの母は精神的疾患がありマグリット13歳の時、川に身投げし自殺する。
発見時、寝巻きが顔に巻き付いていたと言われる。
マグリットの作品には、顔を白い布で覆われた人間が幾つも登場する。


パンフレットやチケットのデザインにもなった作品、「ゴルコンダ」。
青い空と、赤い屋根の集合住宅をバックにたくさんの山高帽の紳士が浮かんでいる。
山高帽は、マグリットの作品に良く出て来るモチーフで、マグリット自身が被っていた帽子でもある。
集合住宅は、マルグリットの住んでいた町の景色と似ていると言う。
この画面には3段階の奥行きがあり、手前の大きい人物、真ん中、一番遠い小さい人物が描かれている。
洋服生地のようなデザイン性と、奥行きを表した作品。
ゴルコンダとは、16〜17世紀に繁栄を見せたインド南東部の都市の名前である。
かつては、ダイヤモンド有数の採掘地として栄えたが、1687年ムガル帝国の第6代皇帝アウランゼーブにより滅ぼされた。
20世紀、ヨーロッパに生きたマグリットからしてみれば、幻の都である。


これは特に有名な作品。
「大家族」 ←クリックするとオンラインミュージアムへ
景色は陰鬱なのに、巨大な鳥の中だけは青空である。
鳥が青空を運んで来たかのようにも見える。
マグリットの作品に、しばしば登場する鳩である。
旧約聖書の創世記8章に、ノアの洪水について書かれている。
ノアが放った鳩がオリーブの若葉を持ちかえり、洪水が終わると言う話である。
第二次世界大戦後、ピカソが平和のシンボルとして描き、平和を象徴するものとなった。

さて、なぜこの鳥が「大家族」なのか、諸説ある。
ひとつには、この作品が制作された1963年の数年前は、米ソ冷戦時代の真っ只中で、
世界全面戦争の危機もあるような時代だった。
作品制作の1963年には、米ソ英の間で「部分的核実験禁止条約」が締結されている。
ようやく、緊張緩和し始めたのである。
マグリットの「大家族」は、嵐が来そうな景色の中に平和の鳩が飛んで来ている。
鳩の内側には青空。
世界が、ひとつの大家族のように暮らせるよう、マグリットの願いがこめられている。


マグリットは、目立ちたいと思わない芸術家だったと言う。
スキャンダルにも無縁だった。
マグリットには、ジョルジュエットと言う幼馴染の女性がいる。
そのジョルジュエットと、1920年ブリュッセルで偶然再会した時、マグリットは画学生、ジョルジュエットは
画材店店員になっていた。
マグリットは、再会した時喜びのあまり声を上げたと言う。
マグリットは彼女と結婚し、生涯仲むつまじく連れ添っている。
ジョルジュエットは、夫マグリットの作品にたびたび現れている。


マグリットの作品を初めて見た時、多くの人は奇妙な作品だと思うだろう。
だが、作品を解読するうちその視覚芸術に込められた彼の哲学に出逢うのである。
摩訶不思議な、答えを出さないと抜け出られない迷宮。
しかも、その中には戦争と平和が繰り返し出て来る。
私は、戦争の話を曾祖母・祖父母から良く聞かされていた。
マグリットの作品は、哲学好きな学生だった私にとってなじみやすかったのかもしれない。

マグリットは、シュルレアリズム(超現実主義)の画家である。
シュルレアリズムとは、現実を超えた夢の世界を絵画や文学で表現する運動である。
「今までのではダメだ、壊してしまいたい」と言う衝動である。

シュルレアリスムは、戦争を経験し既存の価値観が信じられなくなった時に生まれている。
第一次世界大戦最中1916年、キャバレ・ヴォルテールではダダイズムが起きている。
これも、既存の価値観を破壊する運動である、

それまでの価値観が信用出来なくなった時、学問分野では哲学が盛んになる。
人々は、悩み始めるのである。
現在も哲学が盛んになっている。
芸術や学問もまた、政治や戦争に大きく影響を受ける。
今もまた、既存の価値観が壊れる時代にある。

【2015.06.01 Monday 15:11】 author : いづな薫 
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 仕事(技術・研究系)と環境に優しい生活、家族を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、欧州サッカー、クラッシック、登山、茶道、語学、刀剣鑑賞。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住、今東京/Tokyo

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