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戦国特に上杉家、幕末、古代、歴史を愛する日記です。時事問題も多いです。
 
ハーバード大学 白熱教室 奴隷に正義あり!?
私が、マイケル・サンデル教授の授業10回までで、最も感銘を受けた話の1つである。
 古代ギリシア哲学者アリストテレスと奴隷制を、テーマにあげている。

 政治とは、何か?
アリストテレスは、こう答える。
政治とは、良い人格を形成すること。市民たちの美徳を高めること。よき生をもたらすこと。

サンデル先生は、続ける。
国家や政治の目的は、単なる生活でも安全保障でもなく、経済活動でもない。善き生を実現することだ。
 (上杉鷹山公の政治のようだ。)

アリストテレスは、名ばかりでなく、真のポリス(古代都市国家)と呼ばれるものは、善の追求と言う目的に献身すべきだ
 さもなければ、政治的共同体は、ただの同盟に陥る。
法は、他人から人間の権利を保障するだけの約束事になってしまう。
本来は、ポリス(都市国家)の市民に善と正義を与える規範であるべきなのに。
ポリスは、同じ場所に住む者の集団ではない。
互いの不正義を防ぎ、取引を容易にするためのものである。

アリストテレスは、問いかける。

誰が一番、発言力を持つべきか?

誰が、政治的権力を持つべきか?

アリストテレスは、答える。
善を追求する集団に、最も貢献する者が、政治的統治における役割やポリスにおける名声を、得るべきである。

なぜアリストテレスは、政治参加が善き生に不可欠だと考えたか。

アリストテレスの答え。
ポリス(都市国家)で生活し、政治に参加することでのみ、人間固有の言語能力を活用できるからだ。
言語能力でのみ、正義・不正義を論じることが出来る。

アリストテレス的幸福の定義とは、
幸福とは美徳に基づいた、魂の活動である。
政治を学ぶすべての者は、魂を学ぶ必要がある。
魂を形作ることは、よき都市国家における、法の一つなのだ。


 さて、政治に必要な、美徳を身につける方法である。
美徳とは、実践し、自分で行動することによってのみ得られる。
 フルート奏者は、教則本から学ぶだけでなく、優れたフルート走者の演奏を聴いたりしなければならない。
 一流の料理人で、料理本からだけで学んだ人はいない。
実践によってのみ学ぶことが出来る。
お笑いもそうだ。お笑いの原理を読んだだけで、一流のコメディアンになった人はいない。

 フルート奏者、料理人、お笑いに共通して必要なものは、「コツを掴む」と言うことである。
 コツを掴むとは、与えられた個別状況を見抜くことである。

我々が善く生きるためには、美徳を身につけねばならない。
それは、市民同士が対等に論じ合う能力が必要である。

 政治に参加せず、1人で生きていては決して出来ない。
善の本質を発揮するために、政治に参加しなければならない。

 また、アリストテレスは、当時制度としてあった奴隷制を擁護している。
彼によれば、正義とは「適合性」が必要で、人間はふさわしい役割を与えられなければならない。

奴隷制が、正義だとする条件。

1、社会にとって不可欠であること
2、奴隷にふさわしい人がいる。

 政治を論じ合う市民は、手作業、家事から解放されねばならない。雑用する人間が必要。
アリストテレスは、嘆かわしい一節を残している。
奴隷に、適した人間がいる。統治されることを、定められている。

サンデル先生は言う。
 アリストテレスは、この説がいかがわしく、無理があると悟っていたに違いない。

 その証拠に、アリストテレスは反対意見に耳を傾ける。
戦争に負けて、仕方なく奴隷になった人間がいる。
 ふさわしくない者が奴隷になるのは、強制であり、アリストテレスが重んじる「適合性」に見合っていない。

 古典的議論は善や正義が中心だった。逆に、価値観の多様化した近代では、権利や正義で議論を構成する。

 古典的議論は、奴隷制を擁護し自由を軽視したのではないか?
いや、そうではない。サンデル先生は、必ずしもアリストテレスは奴隷制を擁護していないと言う。
 
 これらの論理、特に”政治と美徳”は、現代も耳が痛い話だ。”政治と美徳”、本当に結びつくのかと疑問に思う人もいるだろう。
 次々に出て来る、政治家のお金の問題。選挙に行かない有権者。
 今ニュースになっている、大量の少女漫画や化粧品代を事務所経費で買っている大臣、なんとまあ・・・。
政治家のレベルは、国民のレベルでもある。
 アリストテレス、2400年くらい前の人物だが、彼の説に未だに程遠いことが残念である。 

 さて、ワールドカップ見てきますハート

【2010.06.11 Friday 23:07】 author : いづな薫 
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ハーバード大学 白熱教室
 固い番組なのに高視聴率、NHK「ハーバード大学・白熱教室」が大変面白い。
 実際の米ハーバード大学で行われた、1000人もの学生が聞く人気講義で、あまりの人気のため
非公開だった授業を、公開した。
先生は、マイケル・サンデル教授、専門は政治哲学だ。

 何が、そんなに面白いか? ページを閉じるのは、下の緑字をご覧になった後でお願いします。笑
 毎回二つの、刺激的な議題がサンデル教授の絶妙な語り口で語られる。

第1回 「殺人に正義はあるか」
Lecture 1 犠牲になる命を選べるか
Lecture 2 サバイバルのための殺人

以下続いて現在9回まで。
第9回「アリストテレスは死んでいない」
Lecture 19 ゴルフの目的は歩くこと?
Lecture 20 奴隷制に正義あり?

 私はアリストテレスの回に大変興味を持ったが、今回は、注目して頂く意味もこめて第1回の
「サバイバルのための殺人」を書く。

ひらめきこれは、19世紀に実際起きたことである。

 1884年9月20日、イギリス、4人の船乗りが乗船していたミニョネット号が沈没する。
4人とは船長ダドリー、一等航海士スティーブンス、船員ブルックス、給仕パーカーである。
 救命ボート乗り移った4人の食料は、蕪の缶詰2つだけで、真水はなし。

 最初の3日間は、何も食べず水もなかった。
4日目、蕪の缶詰をひとつ開けた。
5日目、亀を捕まえた。
その後8日間、亀と残りの蕪の缶詰1つで、4人は生き延びた。
4人のうち1人、一番若く身寄りのない、17歳のパーカーが、他の仲間が止めるのも聞かず海水を呑み具合が悪くなった。
 救命ボートの底で横たわり、既に死が近いように見えた。
 19日め、ダドリーがくじ引きを引こうと言った。
残りのものを助けるため、1人が死ぬと言うのである。
 しかし、これはブルックスに拒否される。
20日目、ダドリーがブルックスに見ないように言い、スティーブンスに、衰弱したパーカーを殺そうと合図した。
ダドリーは神に祈りを捧げ、「お前の最後の時が来た。」と告げた。
そして、ナイフで頚動脈をぶすりとやった。
4日間、身の毛もよだつ恵みを共有したと言う。
24日目、朝食(ひえー)を食べている時に、通りかかったドイツ船に救助され、3人は本国イギリスへ送られ逮捕される。


 彼らは、殺人罪として、裁判にかけられたのである。
 ダドリーとスティーブンスは裁判で、3人が生き残るためには、1人の死は仕方ないと主張した。
 検察官は、殺人は殺人だと主張した。
 
 サンデル教授は、聴講する大勢の学生に問いかける。

 「もし、自分が陪審員だったらどう裁く?

法的問題は、この際置いておき、「道徳的にどう思うか?」をサンデル先生は尋ねている。哲学の授業なので。
 
 学生の一人は、生き残るためにすることをしなければならない、と主張する。
またある学生は、人間が他の人間の運命を決めることはいかなる場合も許されないと言う。
ある学生は、殺人を犯した2人が、パーカーに同意を求めていたら?と提議する。

 サンデル先生の言葉が、笑いを誘う。「パーカー、殺してもいいかな?俺達は腹ペコなんだ!」
 同意を承諾した場合、正義があるとした学生が増えた。
殺人罪に問われたダドリーとスティーブンスは、故郷に家族がいて、家族がいなければ殺人は犯さなかった。
 一方パーカーは、身寄りのない少年である。
ダドリーとスティーブンスが生き残れば、多くの人の幸せが保たれるのか?
 多くの人の幸せなら、道徳的に正しいのか?

 昨日、菅新首相が会見で、「最小不幸の社会」を目指すと言っていた。
 これは、ベンサム(英・18世紀の哲学者・経済学者・法学者)の「最大多数の最大幸福」の言葉をもじっている。たぶん。

 ベンサムは、正しい行いとは「最大多数の最大幸福」だと唱えている。
ミニョネット号事件は、3人の命を救うために、1人が犠牲になった事件である。
 ベンサムは間違っている?いやそうではないと、サンデル先生と生徒の議論は白熱する。

 法的問題は置いておくと仰った先生だが、一応法的結末も記しておく。
 裁判にかけられた2人は死刑を宣告された。
しかし、世論は2人に同情し、ビクトリア女王の恩赦により禁固6ヶ月となったのである。

サンデル教授は、ミニョネット号事件、臓器移植、兵役、代理母、政治倫理など
興味深い題材を元に、正義とは?公正とは?、と、次々に問いかける。

その姿はまるで、現代のソクラテスだ。
 
 
 どんなことも鵜呑みにせず、疑問を持ち、調べ、考えることが大切だ。
 私たちに関係する重要事項なら、なおさらである。


 新政権を造った菅さんにも、ぜひ頑張っていただきたい。
そして、私もサンデル先生のおかげで、政治に対するより厳しい観察眼を得た。
 サンデル教授の授業は、残りあと2回だが、楽しみに待ちたい。(日曜18時・教育)

【2010.06.09 Wednesday 15:12】 author : いづな薫 
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 仕事(技術・研究系)と環境に優しい生活、家族を愛する普通の人。
時事問題、歴史、環境、料理、欧州サッカー、クラッシック、登山、茶道、語学、刀剣鑑賞。
かつてはドイツ黒い森地方に学究のため在住、今東京/Tokyo

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